山中教授のマニフェスト(OELキャンペーン 578)

2014・6・23(月) STAP細胞の誤算

ことしの2月3日(OELキャンペーン 558)で「天晴れリケジョの活躍」と題して理研の発生・再生科学総合研究センターの小保方晴子研究主任の「STAP細胞」という万能細胞の「Nature」への発表をたたえたが、残念ながらこの論文は科学論文の体をなさず細胞写真がコピペだったり、内容も不備との刻印をおされ孤立無援の仕儀になった。

まことに残念という外はない。そもそも山中伸弥教授のiPS細胞の発明に関しノーベル生理医学賞受賞があり、これの弾みとして大きな期待がもたれたSTAP細胞はiPS細胞と異なり、作製が容易で癌化の心配もないという触込みで売込まれた。

理化学研究所の改革委員会の報告によると研究不正行為を誘発した欠陥がある発生・再生科学総合研究センター(CDB)は解散すべきとの結論である。

笹井芳樹センター長の下でCDBはデータの検証を怠り内部で秘密裏に拙速に論文を作成し、投稿を急いだ。科学論文に求められるデータに基づく確固とした内容がなかった。

また小保方晴子主任の資質や研究を精査することなく採用をすすめ、成果主義に走り、今のような実態を許容した理研のガバナンスが問われている。かつての栄光の理研はどこで迷走を始めたのか。

STAP問題は世界の三大研究不正の一つに設定されているという。何たる恥辱。

文科省はiPS細胞を中心に世界をリードする革新技術の開発を目指し、京大、慶応大、理研、東大の4ヶ所の研究機関を中核的研究拠点とし、10年間1100億円を準備した。生物医学界からは偏重すぎる。「みんなどけどけ 多能性幹細胞様のお通りだ」と揶揄されている。

成果主義に国を挙げて走ると往々にしてこのような誤算、迷走が生まれる。科学はもっと地道に、もっと冷静に日頃の努力を積み重ねることが肝要である。

拡大と拡張の続いた理研は功をあせりすぎたのか。

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山中 千代衛