山中教授のマニフェスト(OELキャンペーン 652)

2015・12・7(月)MRJ初飛行

筆者は阪大工学部航空学科にいたから、今度の三菱リージョナルジェットの初飛行には誠に感慨深いものがある。

昭和20年占領軍総司令官マッカーサーの命令で日本は航空機の研究はもとより一切の製造を禁止され、その結果大学の航空学科は取りつぶしにあった。

零戦を始め、色々の軍用機が戦争中活躍したが、日本は資源の供給が途絶えて国力を次第に消耗し、3年余りの戦は敗戦に終わったのである。日本降伏、東洋で唯一独立国として、欧米と対等にふる舞えた立場は消滅してしまった。

戦後1962年やっと開発にこぎつけたYS-11は1965年に就航したが、立ち遅れた技術では中々国際競争に打って出られなかった。

今年2015年11月11日午前9時35分小型旅客機「MRJ」は三菱航空機により名古屋空港の滑走路を離陸し澄み切った秋の空へ舞い上がっていった。50年ぶりの快挙に日本中が沸いた。

MRJを切っ掛けに現在1兆6000億円にしかすぎない日本の航空機予算が拡大し、繁栄を期待する声は大きい。

しかし現実は易しくはない。11月11日に空に舞ったMRJも部品の7割が海外製である。主要ジェットエンジンもプラット&ホイットニー、米国製である。

MRJはこれまで5回開発スケジュールを延期している。2008年3月事業化を決めた時は2011年初飛行、2015年納入を目指していたが、今では2017年6月納入にずれ込んだ。今回のMRJは客席数70~90である。このクラスの航空機は2015~34年の20年間で2490機、約12兆円の新規需要が見込まれる。その65%が北米向なのである。

航空機はワイドボディ機、複数通路、200席以上 B787、B777X、A350などとナローズボディ機、単通路、90~250席 B737、A320などとリージョナルジェット 90席以上 MRJ、CRJ、などに分類される。

リージョナルジェットではブラジルのエンブラエルとカナダのボンバルディアが2強体制にあり、三菱のMRJはこの領域への参入が目標である。ロシア、中国、インド、韓国もリージョナルジェット機の研究を進めている。

MRJの「型式証明」のため時間はもうあまりない。長い長い悔しさを50年ぶりの快挙に繋げるか、タイムリミットは刻一刻迫っている。

頑張れ日本の航空機産業!

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山中 千代衛