山中教授のマニフェスト(OELキャンペーン 670)

2016・4・11(月)天の時、運が開ける時

長い人生において日々努力精進することはきわめて大切である。しかし成功を収めるには「天の時」が必要である。いわゆる運命の発現だ。

筆者の場合も大阪大学電気工学科を卒業し、高電圧放電破壊の研究で大学院を過ごしたが、その成果は平凡そのもの特に将来の展開が見えるものではなかった。

しかしこの時レーザーが出現した。これを利用した放電現象の研究に進んだのが一大転機となった。名古屋大学プラズマ研究所の客員部門に推薦され、開発中の激光I号、ガラスレーザーを持ち込み、プラズマ核融合で中性子の発生を目標にした。

その頃大学紛争の昭和43年阪大の評議員に選出されたが、例によって会議、会議の連続で研究など出来そうもなかった。一大決心をし、評議員を辞退し、名大に出張したのである。その結果レーザー加熱による核融合生成につながり、原因として「プラズマパラメトリック共鳴」によるレーザー光の吸収が作用していることが分かったのである。

名大プラズマ研は磁場核融合が中心であったが、新参者のレーザー核融合が新しい成果を生んだのである。これこそ「天の時出現」であった。阪大レーザー核融合研究は天下に轟き、海外でも高く評価されたのである。伏見プラズマ研所長も喜々とされ成果は認められた。

1972年京都で日米セミナー「ハイパワーレーザーの応用」を開催したが、海外国のこの方面のエキスパートが全部出席してくれた。研究の知己が出来たのはきわめて重要な成果であった。

この様子はまさに日常努力に加え、人の時を確実に捕えることの重要性を示すものだ。日頃言う所の「知天時、尽人事」である。

昔から「機会は飛ばざるに捕えよ」という格言があるが、筆者も正にこの原理が正しいことをレーザー研究を通じて実感した。

人生努力だけでは十分な成功に達し難い。まさに「天の時」が必要なのである。そのチャンスをいかに捕え、新展開するか、各人の手段にかかっている。努力が求められる。

運の開けるのは日頃の努力精進の結果である。果報は寝て待てではダメである。

お便りはcampaign@optolab.co.jpまでお願いします。

山中 千代衛